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ブレゲ・マニュファクチュールのエントランス。ジュウ渓谷のロリアン村にて。





 午後になった。一行はブレゲ・マニュファクチュールへと車を進める。目的地のロリアン村は、ル・ブラッシュ村の隣だ。そこで我々を迎えるのは、ブレゲのCEO、ティエリー・エスリンガー(Thierry Esslinger)と、同社で歴史的財産・マーケティング部長を務めるエマニュエル・ブレゲ(Emmanuel Breguet)だ。彼らは類稀な時計業界の起業家である2人の名に賛辞を送っている。


ブレゲで歴史的財産・マーケティング部長を務めるエマニュエル・ブレゲ(右)。チュードル 時計 レディース新型のクラシック トゥールビヨン エクストラフラット スケルトンを見せてくれた。

 一人目は、エマニュエル・ブレゲの先祖にあたる、ヌーシャテル生まれのアブラアン=ルイ・ブレゲ(Abraham-Louis Breguet)。優秀なスイス人時計職人であったブレゲ(1801年に特許を取得したトゥールビヨンの発明者でもある)は1775年、パリに時計店を開いている。二人目はマーク・ハイエックの曽祖父、ニコラス・G・ハイエック(Nicolas G. Hayek)だ。スウォッチ・グループの会長を務めており、1999年にブレゲを買収して復活させたうえ、2010年に他界するまで同社でCEOを務めていた。

 この地に2人の魂が宿っているのを、我々はすぐに実感することになる。最初に見学するのはレストア部門だ。「ここには、アブラアン=ルイのDNAが宿っています」と案内人が言う。このアトリエでは熟練時計職人らが、創業期のブレゲ製時計をレストアしている。時計職人の一人は、1810年製のムーブメントを修理しているところだ。毎年、およそ20点のヴィンテージ時計がここでレストアされている。

Breguet 1160, an exact reproduction of the Breguet 160, or "Marie Antoinette."
ブレゲ 160の完全復刻版、ブレゲ 1160。「マリー・アントワネット(Marie Antoinette)」の名を冠する

 目の前のブレゲ 1160は、名高いブレゲ 160「マリー・アントワネット」の完璧なレプリカだ。世界で最も複雑な腕時計として、一世紀にわたりその座を占めていた。1983年にイスラエル博物館で盗難に遭ったが、後に取り戻されてたが、見つかるまでの時期に、ニコラス・ハイエックは時計を復刻することを決めたのだ。「ニコラス・ハイエックが一族、そして子孫に取り組んで欲しかった課題です」と案内人が言う。復刻版は2008年に公開されている。